忘れようとしても思い出せない、過剰な場所・もの・人・映画・音楽
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スウェーデンの最北部、フィンランドとの国境に近い極寒のパヤラ村を舞台に、ビートルズの音楽に出会った少年達の幼年期から少年期を描いた小説。
作者ミカエル・ニエミの自伝的な作品である本作はベストセラーとなり、映画化までされたらしい。
世界から取り残されたような北極圏のパヤラ村でロックンロールと出会い、仲間とバンドを結成する主人公。姉の部屋に忍び込み、エルヴィスのレコードを盗み聴いてロックンロールと出会う瞬間の描写が素晴らしい。全く初めての衝撃が幼い少年をつらぬく。そして少年は、「これは未来の音楽だ」と確信する。
ビートルズにいたっては衝撃が大きすぎて腰を抜かしてしまう。忍び込んだ部屋に怒った姉が飛び込んでくるが、彼女もその音楽に同じ反応を示す。
不恰好な手作りギターを持ってレコードにあわせてがなりたてるデビュー・ギグを教室で果たした。
読んでいると、いつのまにか現実から離れファンタジーに展開する部分があり最初とまどうが、子供の世界はいつでもファンタジーに直結しているのだ。子供の頃のピュアでバカで童貞な気分が満ちた小説だ。